特区民泊の新規申請が相次いで停止!どうなる?大阪民泊
国家戦略特区法に基づく特区民泊の約95%が集まる大阪市が2026年5月30日から新規受付を停止することになりました。
その背景や今後の動きをまとめてみたいと思います。
| 1.大阪府の特区民泊への意向 |
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政令都市、中核市については、これまで特区民泊制度を実施していた大阪市、八尾市、寝屋川市も受付停止の意向を示しています。
大阪市は全国の特区民泊の95%が集まるメッカでしたが、今回大きな決断をされました。

(出典)国土交通省資料 2025年2月28日時点 のデータから作成
大阪府が実施している自治体の特区民泊意向調査の結果、政令指定都市および中核都市を除く34市町村のうち、今後も民泊特区の新規受付を継続するのは、貝塚、泉佐野、羽曳野の3市および地域を狭めて継続する河内長野市のみとなりました。
停止時期は、来年2026年5月30日としており、11月中旬の国との協議を経て正式に決定します。
| 2. 新規受付を停止する背景 |
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大きな理由としては、近隣住民からの苦情が多く寄せられているということです。2024年は556件、2025年は7月時点で314件寄せられており、年々苦情が増えている状態です。
大阪市が受けた民泊に対しる苦情の内容として、特に多いものが次の2点のようです。
その他、マンション全室を民泊にするために住民が退去を迫られたり、賃貸マンションという名目で建設された後に全室民泊として使用されたため周辺住民が説明を受けていなかったというケースもあるようです。
コロナが明けてから旅行客数がコロナ前と同水準まで回復し、インバウンドが増加傾向のなか、大阪の宿泊施設の稼働状況が70~80%と全国でも有数の高いレベルで推移していました。

(出典)宿泊旅行統計調査 観光庁 のデータから作成
大阪は万博開催を控えていたこともあり、宿泊施設不足を補うため特区民泊を推進していました。大阪市内の各所で行われている再開発により宿泊施設の供給量が増えること、今後はラグジュアリーホテルの需要が強まることから特区民泊は一定の役割を果たしたと解釈できると思います。
アメリカ(ニューヨーク)
ニューヨーク市は、2023年9月に、民泊をする人の登録を義務付けました。その登録に厳格な審査があったり、滞在者を2名以下かつ同居型に限ったりと、実質禁止と同じだといわれています。民泊が普及することによって、市内の住宅不足を加速させ、住宅価格が押し上げられている。その結果、ニューヨーク都市圏から住民が離れているという背景があるようです。
スペイン
同様の背景で、スペインのバルセロナ市民泊のライセンスは2028年11月に全て失効(JETROビジネス短信)やオーストラリアでも規制が強化されているそうです。
オーストラリア
オーストラリアでも、手ごろな価格帯の住宅供給不足が問題となり、州ごとに規制を設けています。民泊が多く利用されて人の出入りが多くなったとしても、その地域に還元されないため、新税制を導入して宿泊費に対して課税するとうい州が多いようです。加えて、営業日数を制限するなど制限も設けているようです。
ただ単に民泊を禁止するというのではなく、住民の安心と観光収入の両立を目指す方針のようです。
その他
カナダやフランスなどは、ホストが住居として使っている住宅に限っていたり、シンガポールでは3か月以上の長期滞在のみ許可していたりと、各種制限をしているようです。
影響としては、大阪では特に宿泊施設不足を補っていた側面があるため、新規受付が停止すると、宿泊施設不足による観光収入が頭打ちになったり、宿泊費が高騰したりする可能性が考えられます。
今後日本の民泊がどうなっていくのかについては、日本と海外との事情に違いがあるため、海外と同じように実質民泊禁止にはならないのではないかとは思います。オーストラリアの方針と同様に、住民の安心を確保しつつ観光収入が得られる道を模索するのではないかと予想しています。
その理由としては、中古住宅を好む海外、例えばアメリカは約10%(2024年)、その中でもニューヨークは1.4%、ヨーロッパは5%以下と低水準であることに対して、新築が好まれる日本の空き家率は13.8%(2023年)、その中でも大阪市は16.1%と高水準であることが挙げられます。
前章でもご紹介したように、海外ではごみ・騒音への苦情もありますが住宅不足・家賃高騰を助長することへの対策として規制をしているということに対して、日本が新規受付停止に踏み切った理由が、違法民泊とごみ・騒音への苦情が大きいという、背景に違いがあるからです。
横山市長も2025年7月25日の記者会見において「まず課題を減らしながら事業運営できるような制度・体制を早急に協議していきたい」と発言されており、吉村府知事も、制度の整備や規制の強化をする段階に来たとして「新規受付は“いったん”停止すべきだ」と発言されています。このことからも、事業者によっては運営コストが上がるかもしれませんが、全面禁止にはならないと予想できます。
とはいえ、2026年5月30日で新規受付は停止され、再開予定は未定です。今、新規受付の窓口予約が2か月待ちだそうです。地域と調和できる運営で民泊をお考えの方は、早期事業化をご検討ください。
| 5.まとめ |
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大阪府で今後も民泊特区の新規受付を継続するのは、貝塚、泉佐野、羽曳野の3市および地域を狭めて継続する河内長野市のみ。
停止時期は、来年2026年5月30日としており、11月中旬の国との協議を経て正式に決定。受付再開は未定。
停止する理由は、寄せられる苦情が年々増えていること。
住宅不足を助長する民泊の実質禁止を打ち出す海外と、空き家率が高い水準の日本は住宅事情事情が異なる。そのため、日本は住民の安心と健全な民泊運営の両立を目指すのではないかと考えられる。
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