2024年評価ルール導入から4年…

2028年に直面する「タワマン相続税評価額の再上昇リスク」とは?




2024年1月、タワーマンションを活用した過度な節税を抑止するため、相続税評価額を市場価格の約6割まで強制的に引き上げる新ルールが導入されました。

制度スタートから数年が経過し、市場の混乱は落ち着きを見せているように見えますが、実務上、「2028年前後から評価額が予想外に跳ね上がる物件が増える」という”2028年問題”が浮上しています。

今回は、タワーマンションを所有されているオーナー様、あるいはこれから購入を検討されている方へ向けて、このリスクと対策を解説します。



1.マンション等の相続税評価適正化 ルールとは?

マンション等の相続税評価適正化(通称:タワマン節税対策ルール)とは、「マンションの相続税評価額(税金計算の基準となる価値)が、実際に売買される価格(時価)とズレすぎないよう補正するルール」です。2024年1月以降の相続や贈与から適用されています。

他の住宅よりもマンションの方が価格が下がりにくく、特にタワーマンションは市場価格(実勢価格)に対して相続税評価額が2割〜3割程度と極めて低く算定されるため、絶大な節税効果がありました。しかし、現金で相続する人との間で不公平感が強まったため、国税庁が是正に乗り出しました。

新しい法律では、市場価格と路線価等から算出される相続税評価額の「乖離率(かいりりつ)」を以下の4つの要素(指数)を用いて自動計算し、評価額が市場価格の60%に満たない場合は、強制的に60%まで評価額を補正・引き上げるルールが導入されました。

① 築年数(新しいほど乖離率が高くなる)
② 総階数(高層階・タワーであるほど乖離率が高くなる)
③ 所在階(自室の階数が高いほど乖離率が高くなる)
④ 敷地持分狭小度(1戸あたりの土地面積が狭いほど乖離率が高くなる)


これにより、都心部の高額なタワーマンションほど相続税評価額が跳ね上がり、従来の「タワマンを買うだけで大幅に節税できる」手法は通用しづらくなりました。


2. なぜ2028年頃から「評価額の再上昇」が多発するのか?

「制度導入時(2024年)に計算したから大丈夫」と安心するのは危険です。評価額を決定づける乖離率は固定されたものではなく、マンションの経年や実務の変化によって数年単位で大きく動くからです。2028年頃に、以下の現象が顕著化します。


① 大規模修繕工事による評価額の跳ね上がり

築12年〜15年周期で実施される大規模修繕工事により、マンション全体の建物固定資産税評価額が更新・見直されると、それに連動して相続税評価額が急上昇するケースがあります。


② 近隣相場の上昇と乖離率の固定化補正

周辺にマンションがいくつも建設されいろんなお店や病院もできて街の機能が充実してくると、市場価格が上がり評価補正(1.67倍ルール)がより強く作用し、想定していた以上の相続税評価額が算出されてしまいます。


③ 築年数補正の「下げ幅」と実勢価格維持のギャップ
通例、築年数が0~5年で大きく下落し、10~20年は緩やかに下落して安定してくる傾向がありますが、立地が良いタワマンは実勢価格が下がりません。結果として補正倍率が高く維持され、税負担が下がらないという構造が浮き彫りになります。


大阪市内では、2006~2009年が特に年間約10~20棟供給されるというタワマンラッシュでした。これらは特に上述①・②に当てはまる可能性があります。

その後、リーマンショックや東日本大震災後の開発見直しにより年間約5棟前後まで落ち着きましたが、2015~2025年は再開発と超低金利政策等で供給が再度過熱して、年間10棟前後で推移しています。これらは特に上述②・③に当てはまる可能性があります。


3.今取るべき相続・資産戦略は?


既にタワマンを所有されているオーナー様

購入当時の想定や、2024年時点での試算結果をそのまま何年も信じるのは危ういです。定期的に現在の「市場価格」と「補正後の相続税評価額」を試算し直すことが不可欠です。評価額が予想以上に高くなっている場合は、生前贈与の活用や、他の不動産(小規模宅地の特例が使えるロードサイド店舗や一戸建て等)への組み換えも選択肢となります。


これからタワマンの購入を検討されている方

「節税」だけを主目的に購入する時代は終わりました。しかし、新ルール下でも「市場価格の約6割」で評価されるため、現金で保有するより約4割圧縮できるという優位性は依然として存在します。

今後は「節税額の大きさ」ではなく、「資産価値の落ちにくさ・将来の売却しやすさ(流動性)」を最優先に物件を選ぶ視点が求められます。



4.まとめ

2024年1月から、評価額が市場価格の60%に満たない場合は、強制的に60%まで評価額を補正・引き上げるルールが導入されました。

それから約4年後の2028年頃、以下の理由で相続税評価額の再上昇が多発するとみられています。


① 大規模修繕工事による評価額の跳ね上がり

② 近隣相場の上昇と乖離率の固定化補正

③ 築年数補正の「下げ幅」と実勢価格維持のギャップ


制度改正時の試算結果のまま試算されていない方は、再試算してみてください。


タワーマンションの相続税評価は非常に複雑化しています。現在の正しい評価額の把握や、将来を見据えた資産ポートフォリオの見直しは、ぜひ専門知識を持つ当社までお気軽にご相談ください。


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