非上場株式の評価ルール見直しでどんな影響がある?




賃貸不動産を多く所有されているオーナー様の中には、個人ではなく会社を設立して不動産を所有・管理されていると思います。

その方々に動向を追っていただきたいのが、約60年ぶりに非上場株式の評価方法が見直し(2028年1月に適用予定)が検討されていることです。これによって自社株の評価額が上昇する恐れがあり、中小企業の事業継承や自社株対策において注目を集めています。

現時点の情報で、非上場株式評価額の上昇がもたらす「贈与税・相続税負担の増加」について少しだけ解説していきます。



1.なぜ「自社株評価」が上がってしまうのか?

株価の評価方法は、「類似業種比準価額」と「純資産価額」のどちらか一方または、2つを一定の割合で掛け合わせて計算されます。今回の見直しの大きな方向性は、「類似業種比準価額」と「純資産価額」の乖離を縮小させることにあります。

簡単に言えば、会社が保有している実際の純資産や収益力を、よりダイレクトに株価評価へ反映させる仕組みへ移行することです。



類似業種比準価額とは …
  • 事業内容が似ている上場企業の株価や業績と比較して、株式を算出する方法です。
  • 会社がいくら含み益のある不動産や大量の現金をため込んでいても、利益を抑え気味にコントロールし得散れば、実際の試案価値よりも株価を低く抑えることができる特徴があります。
  • 一般的に、会社の規模が大きくなるほどこの計算方法の割合が高くなります。
純資産価額とは   …
  • 会社が持っている財産の棚卸をして株価を決める方法。
  • 会社の価値がダイレクトに反映されます。不動産の価値が上がっていたり内部留保がたまっていたりすると、株価がその分上がることになります。


(表)現行の会社規模と評価方式

会社規模従業員の区分原則的評価方法 ※1取引金額の区分 ※2
大会社36 ~ 69 人類似業種比準方式15 億円以上
中会社の大36 ~ 69 人類似 : 純資 = 0.9 : 0.14 ~ 15 億円
中会社の中21 ~ 35 人 類似 : 純資 = 0.75 : 0.252 ~ 4 億円
中会社の小6 ~ 20 人類似 : 純資 = 0.6 : 0.48 千万円 ~ 2 億円
小会社5 人以下類似 : 純資 = 0.5 : 0.58 千万円

※1 会社規模に関わらず純資産価額方式も洗濯可能

※2 その他業種(製造業等)の場合

(出典)取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第3回)、国税庁


従来の計算方法では、評価額を低く抑えやすかった企業であっても、新ルール下では純資産との乖離を補正されるため、含み益のある不動産や潤沢な内部留保(キャッシュ)がダイレクトに株価へ跳ね返るリスクが生じます。その結果、後継者へ株式を贈与・相続する際の税負担が一気に重くなる恐れがあるのです。


2. あなたは対象?可能性をご自身で判断する3つの視点

ご自身の管理会社・不動産会社がこの影響を強く受けるかどうかは、次の3項目で予測ができます。2つ以上該当する場合は、注意が必要な「対象企業」である可能性が高いと考えられます。


① 法人で含み益のある不動産・有価証券を多く抱えている

購入当時よりも時価が上がっている都心部のマンションや土地、評価額の上がっている株式などを法人の資産として所有している場合、株価(純資産価額)が高評価されやすくなります。


② 内部留保(利益剰余金)が積み上がっている

長年の賃貸事業によって会社にキャッシュや内部留保が潤沢に残っている場合、会社の評価額を引き上げる大きな要因となります。


③ 会社の規模が「中・小会社」に区分されている

会社規模の判定で「小会社」や「中会社」に該当すると、選択特例(類似 : 純資 = 0.5 : 0.5)の利用制限または補正の適用で株価計算において「純資産価額」の割合が高くなります。結果として、保有不動産や内部留保のインパクトの割合が高くなります。


未上場株式の評価ルールと称していますが、合同会社の持分も企業に対する所有権(出資の価値)として同等に扱われ、相続税や贈与税を計算する場面では株式会社の株と同じ定規で測られます。ルール見直しが行われると株式会社も合同会社も同じように影響を受けることになります。



3.対象だった場合の注意点と今から取り組むべき3つの具体策

もしご自身の会社が対象である場合、以下の懸念点に直面する時が来るかもしれません。


贈与税・相続税の激増

生前贈与や相続が発生した際、想定していた以上の株価がつき、後継者が納税資金を用意できなくなるリスクがあります。


生前贈与プランの破綻

「毎年少しずつ株を贈与する」という計画を立てていた場合、株価が急上昇することで1年あたりの贈与税額が跳ね上がり、計画の変更を余儀なくされます。


新ルール下での税負担増を回避・軽減するためには、早めの事前対策が欠かせません。


【具体策①】現時点の「最新の株価シミュレーション」を行う 

まずは、現在の自社株がいくらと評価されるのか、そして、新ルール適用後にどう変動するかを税理士等の専門家とともに正確に資産・把握することが、第一歩目になります。


【具体策②】株価が本格的に上昇する前に「生前贈与」を進める 

評価ルールの変更や含み益の拡大によって株価が上がりきる前に、暦年課税や「相続時精算課税制度」を活用して、早朝に後継者へ株式を移転しておくことが有効です。


【具体策③】「事業承継税制(特例措置)」の活用を検討する 

後継者が会社を継ぐ際に、贈与税・相続税の納税が実質猶予・免除される「事業承継税制」の活用を検討してください。特例措置の適用には事前の計画提出期限などがあるため、早めの準備がカギとなります。

10年間の特例措置で、2027年9月30日までに「特例承継計画」を都道府県に提出し、2027年12月31日までに、贈与・相続により会社の株式を取得した経営者が対象になります。詳しくは、中小企業庁のホームページをご確認ください。



4.まとめ

不動産管理会社を活用した節税手法「株価を下げて引き継ぐ」という方法は、は2028年1月から適用が検討されている未上場株式の評価ルール見直しで、想定通りにいかない可能性がでてきます。

まずは、法改正前後の自社評価のシミュレーションをしてみてください。

大きく影響を受けるようであれば、期間限定にはなりますが事業承継税制の活用を検討してみてください。

現在の正しい評価額の把握や、将来を見据えた計画については、ぜひ専門知識を持つ税理士や当社までお気軽にご相談ください。


最後までお読みいただきありがとうございます!
皆さまのお役に立てるようライトな話題から重要な情報まで、どんどん発信していきますので、SNSのフォローも是非お願いします!

これからたくさんの時間を過ごされるマイホームを大阪府下、大阪市内でお探しの方は、コモンズ不動産へ!

Facebook
インスタグラム

友だち追加