店舗開業で知っておくべき「定期借家契約」
カフェやサロン、アパレルなど、憧れの店舗開業に向けて物件を探していると、条件の良い好立地物件の多くで「定期借家(定借)」という表記を目にするかと思います。
定期借家とはなんでしょうか。なぜ増えているのでしょうか。
「定期借家だとずっと営業できないのでは?」と不安に思われるかもしれません。
そこで、本記事では、定期借家契約の背景を正しく知り、どう対応していくべきかの考え方とポイントを分かりやすく解説します。
| 1.定期借家とは? |
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定期借家とは、正式には「定期借家契約」といい、賃貸借契約を結ぶ際にあらかじめ契約期間を定めて、その期間が満了すると原則契約が終了する契約のことです。
それに対して、契約期間は1年以上だが借主が希望すれば基本的に更新できる「普通借家(普通借家契約)」というものがあります。
定期借家制度は、2000年3月1日に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が施行されたことで導入されました。導入の最大の背景は、当時の普通借家契約が借り手を強く保護していたことによる問題を解消することでした。
普通借家しかないときは、貸主側に「正当な理由(自分で住む必要性など)」がない限り、借主の希望による契約更新を拒否できませんでした。立ち退き交渉時の立ち退き料が多額になったりと、大げさに聞こえるかもしれませんが、一度貸すと一生立ち退いてもらえないリスクが存在していました。
それ故、市場では次のような問題が生じました。
●建替えや大規模リノベーション計画が立てづらい
●立ち退きリスクを恐れた不動産オーナーが物件を貸し出すのを控えたため、高水準・高品質な賃貸物件が供給されにくい
そんな中、1990年代のバブル崩壊後の経済停滞期において、不動産ストックの流動化・有効利用が強く求められました。そこで、定期借家(確実な契約期間満了)を認めることで、良質な賃貸住宅の共有や商業ビルの再開発を後押ししようとしたことが、定期借家制度が始まった背景です。
(参考:定期借家制度パンフレット 国土交通省)
| 2.今なぜ、定期借家が増えている? |
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定期借家制度が始まってから、大規模な建替えスケジュールを伴うオフィスビルや立ち退き費用が巨額になりがちな商業施設等から普及し、当時約10%ぐらいの採用率が今では特に事業用物件において約50%にまで伸びています。エリアによってはもっと高い割合で採用されています。
(参考:商業店舗の出退店に関する実態調査2017、ザイマックス総研)
現在の大阪市内においても、ビル建て替えの工事現場をよく見かけると思います。
バブル期の開発ラッシュに建てられた築30~50年の物件がおおよそ半分、築50年を超える物件は約20%を占めるためです。これからも建て替えが必要になるビルがたくさんあるため、不動産オーナー(貸主)は、何年も前から建て替え計画や修繕計画を立てて、それに備えてテナントの方々と合意を得ていく必要があります。
その状況を見ると、ますます定期借家制度が採用される物件が増えていくと予想できます。
| 3.借主が注意すべき3つのリスク |
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定期借家で出店する場合、以下のリスクを事前に把握しておく必要があります。
① 内装・設備投資(初期費用)の回収不能リスク
店舗開業には、内装工事費や設備投資など多額の初期費用がかかります。例えば初期費用に1,000万円をかけ、契約期間が「3年」だった場合、3年間でその投資額を回収しなければなりません。営業が絶好調であっても、貸主から「再契約はしない」と言われれば、期間満了で退去せざるを得なくなります。
② 中途解約が原則できないリスク
「売上が伸びないから1年で撤退したい」と考えても、定借では原則として契約期間中の途中解約が認められません。解約する場合でも、残りの契約期間分の賃料を一括請求されるおそれがあります(特約がない場合)。
③ 営業権(造作譲渡)の売却が難しくなるリスク
将来的に店舗を第三者に譲渡(居抜き売却)して撤退しようと考えても、定借の場合は残りの契約期間が短いと引き継ぎ手が見つかりにくく、原状回復(スケルトン戻し)費用だけが発生するリスクが高まります。
| 4.スマートに定借物件を契約するための4つのチェックポイント |
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定期借地で物件を借りて出店する場合、契約前には以下4つの点を確認・準備しておきましょう。
① 投資回収期間と契約期間のバランス
「初期費用を回収するのに必要な年数」よりも長い契約期間が設定されているか確認しましょう(例:3年で回収予定なら5年契約など)。
② 「再契約」に関する合意・実績の確認
契約満了後も営業を続けたい場合、オーナー様側に「再契約(双方合意による契約更新)」の意向や過去実績があるかを事前にヒアリングしておくと安心です。
③ 事業の計画変更に応じた「中途解約条項」
万が一、事業の方向転換や移転が必要になった際に備え、「事前予告による中途解約が可能か」といった条項を契約内容に含められるか確認・交渉しておきましょう。
④ 原状回復の範囲と条件
退去時にどこまで解約工事(スケルトン戻し等)が必要か、居抜きでの引き継ぎが認められる可能性があるかを事前にクリアにしておきましょう。
| 5.まとめ |
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定期借地は、同じ場所でずっと事業をし続けることができないかもしれない不安はあると思いますが、今後も増えていくと予想できます。
ここで重要なのは「契約期間内でしっかりと利益を出し、投資を回収できる計画になっているか」、「各種条件を確認し合意できているか」になってきます。
契約内容を正しく理解し、ご自身のビジネスプランに合った物件を選ぶことが、持続可能な店舗運営への近道です。店舗物件の選定や契約条件に関するご相談があれば、ぜひ店舗開発に強みがある弊社までお気軽にお声がけください。
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