何が変わる?空家対策を強化する法律改正案




2023年3月3日に閣議決定した「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が、 67参議院本会議で可決・成立しました!どんどん増える空き家対策を強化するもので、空き家を所有されている方にとっては、これまでより少し責任が大きくなる内容になります。

年内に施行されると予想していますので、何がどう変わったのか主なポイントを簡単に解説していきます。


過去のコモンズコラム「空き家を相続した時にすべきことは?」や、不動産の活用・売買の意味について「相続税対策ってどんなことができる?」も是非併せてご覧ください。

 

1.法改正の背景

空き家数の増加が多少鈍化するも今後も増加し続けると予想される中、空き家対策が急務になっています。

周囲に悪影響を及ぼす特定空き家だけでなく、もっと前の段階から空き家等の有効活用や適切な管理を強化していく必要があることから、今回の法改正に至りました。


空き家数の推移(実績値と予測値)

(出典)実績値:総務省「住宅・土地統計調査」、予測値:野村総研 2030年住宅市場と課題 より作成

 

2. 主な改正点① 自治体による合理的規制緩和が可能に

市区町村が空家等活用促進区域を定めることができ、合理的な規制緩和ができるようになりました。

例えば、

建築基準法で定められた接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない)がありますが、活用価値のある空き家に対して、避難や通行の安全上支障がないという前提で、その義務が緩和できるようになります。つまり、建築基準法が定められる前に建築された接道義務を満たさない建物は、基本的にそのままの状態では建替えや売買ができませんでしたが、前提を満たしていればできるようになります。

また、都市計画により定められた用途地域に対しても、市区町村が空き家活用が進むと判断した場合、用途地域を緩和できるようになります。


 

3.主な改正点② 空き家所有者の義務強化

所有者に対して、現状の適切な管理に加えて、国や自治体の施策への協力に努力義務が追加されました。

それと同時に、市区町村が所有者に対して管理不十分な空き家の指導・勧告をしても従わない場合、住宅用地に適用されている固定資産税の用地特例(1/6等に減額)を解除できるようになります。


 

4.主な改正点③ 特定空き家の除去が円滑化

特定空き家とは、倒壊や衛生上有害など周辺へ悪影響を与える恐れがある空き家のことです。

特定空き家を対策したり取り壊したくても、そのような空き家は所有者がなかなか応答しなかったり所有者不明なことがあります。その場合、所有者に代わって、行政が適正管理に向けた取り組みを行う行政代執行がなされます。しかしこれまでは、そのプロセスは通常数年を要したり、裁判所で確定判決がでないと実施できませんでした。

そこで、今後の法律改正で、それらのプロセスをショートカットできる略式代執行や緊急代執行が可能になります。これは、自治体が勝手に空き家を解体してくれるということではなく、所有者が判明した時には、その費用が請求されます。

 

 

5.おまけ情報 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の延長

今回の法改正ではありませんが、有用な情報だと思いますのでご紹介します。

空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)が今年20231231日まででしたが、20271231日まで延長されることになりました。(参考:国土交通省HP) 納税額を、相続した空き家を売った場合の利益から最大3,000万円控除して算出できるというものです。ただし、適用されるには前提条件があります。


【現行の前提条件】

  • 昭和56年5月31日以前に建築
  • 相続の開始の直前(2)において被相続人の居住の用に供されていたもの

  または、被相続人が老人ホームに入居してい合た場合は、貸し出すことなく自身の物を置くなど一定の利用があったもの

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する1231日までに譲渡すること
  • 譲渡対価が1億円以下であること
  • 耐震性のない場合は、相続の前に耐震工事をしたり家屋を取り壊した後の土地が対象

 など


【今回の期間延長と共に変更になる点】※202311日以降の譲渡が対象

耐震性のない場合は、相続の前に耐震工事をしたり家屋を取り壊した後の土地が対象でしたが、

今後は、売買契約に基づいて譲渡した後に、譲渡の日の属する年の翌年215日までに家屋耐震工事や取り壊しを行った場合も対象になります。(参考:国土交通省HP


相続人側で改修・解体工事を行っても対象になりますので、ご自身で活用予定がない空き家を売りやすくなる税制です。

(出典)国土交通省HP

 

6.まとめ

空家等対策の推進に関する特別措置法の改正は、

自治体と所有者が協力して、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空き家活用等の有効活用や適切な管理をすることを強化するものです。

  1. 治体が、空き家に対して建築基準法の接道規制等を合理的に緩和し、活用を進めることができる
  2. 所有者は適切な管理に加えて、国や自治体に協力をして空き家活用促進に努めなければならない
  3. 管理不十分な空き家は、固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)を解除される
  4. 特定空き家の除去に対する代執行が円滑に

(おまけ情報)空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の延長


以上のことから、空き家所有者の方々にとって、活用しやすくなると同時に、検討保留にしておきにくい状況になります。

空き家の所有者になるきっかけとして一番多いのが、相続によって取得することで、約半数の方が該当します。各種優遇制度を利用して検討への足取りが軽くなれば嬉しいです。

私たちも、プロとして一緒に考えていきたいと思いますので、空き家活用についてコモンズ不動産へご相談ください!


過去のコモンズコラム「空き家を相続した時にすべきことは?」や、不動産の活用・売買の意味について「相続税対策ってどんなことができる?」も是非併せてご覧ください。

 

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